便秘状態〜INPUTからのOUTPUT〜

【OKAYAMA HAIR COLLECTION 編】

BAZ-K(以下B):OKAYAMA HAIR COLLECTIONを始めたきっかけを教えて下さい。

岡本(以下 岡):4年前に立ち上げをした時に、バックボーンを作ろうというコンセプトを持って立ち上げました。僕が30代のときは、数多くの美容師発信のものがあったし、20代で自分がお店を出したときは毎週クラブでイベントやヘアショーをしたりと、アンダーグラウンドなところで自己発信をする場があったんです。そこからの派生で、ショーを大きくして様々なホールでもやっていったんですけど、そんな活動をやめてから10数年以上経ってふと周りを見ると、岡山の美容師さんたちが集まって何かをするってことがなかったんです。

ちょうど僕が30歳の時の話なんだけど、ロサンゼルスのロングビーチという場所で行われる、アメリカで一番大きいトレードショーへ岡山の美容師さんが10数人が集まって、JAPANチームとして出場してヘアショーをしたりと、すごい美容師から発信をしていたのね。

B:それは東京からも行ってたんですか、それとも岡山からだけなんですか?

岡:今だから価値の共有をしているけど、僕が若い頃っていうのは競争社会だった。今は競い合う『競争』じゃなくて共に作り上げる『共創』に変わってきているけど、若いころは人を蹴落としてでも自分のところが一番という想いが強かったから、なかなかチームとしてまとまらなかったんです。でも岡山のスギ先生っていうリーダーがいて、その先生にみんなが賛同して、共に共有することができたんです。この大会にエントリーするには、日本で7都市にあるリーダーさんのトップ会が形成されていて、そこの社長さんの認可を受けると出来たんです。どの県も自分の都市から出したいんだけど、まとまらなくて、一番まとまった岡山が出場できたんです。

B:そうなんですね!

岡:で、そのショーは各国が、セバスチャンやヴィダルサスーンなどのブランドメーカーについてブースを作りショーをするんですけど、JAPANチームはジョイコジャパンというブランドのチームで出場しました。結果そのショーを2日間して、ベストオブショーというタイトルを取ったんですけど、それをする時のパワーのベクトルはすごい外に向いていたんですね。ただ、今はみんなちっちゃくまとまって仲良くするっていうか、大きい店もあるんだけど、やっぱりやりたいことを独自がこじんまりまとまっているから、それをもっと共有して何か大きいことをしたほうがいいんじゃないの?ってことでOKAYAMA HAIR COLLECTIONを立ち上げました。


B:なぜこうクラブとかアンダーグランドなところから行きたいって思ったんですか?他にもいっぱいやれる場所はあったと思うんですが。

岡:やっぱり若い頃っていうのは方法も場所もないじゃないですか。そしたらストリートパフォーマンスから始めるしかないんですよね。

B:なるほど。例えば公園だったり、カフェとかは考えなかったんですか?

岡:今だからそういうムーブメントあるけど、いきなり公園でしてたらやっぱりただの

チーマーじゃないですか。

だから当時よかったのはディスコをディスコじゃない風にするとか、要はディスコをクラブ化していくっていう、ディスコのムーブメントを今のクラブのようなものにしていって、それにヘアーファッションを取り入れてましたね。

B:その頃は美容業界自体は盛り上がっていたんですか?

岡:盛り上がる前だね。ちょうどバブルの時ってディスコは流行ってたけど、美容師は全然だめだったの。今の時代と同じで3K(キツイ、汚い、危険)。

その中で時代を通り越していこうってすると、やっぱりアンダーグランドなところでしないと発信できないんですね。で、例えば水曜日はもう美容師DAYにして、美容師さんが来る日にしていましたね。オーナーたちに言って美容師は入場料を半額にして、美容師さんと服屋さんを含めてイベントをしていました。

B:沖野さんに聞きたいんですが、今もしそういう美容師が半額、服屋さんが半額のイベントがあったら行きますか?またそんなイベントを求めていますか?

沖野(以下 沖):人は集まると思います。僕もクラブでヘアショーをやったことがあるんで、そういう発信はすごい楽しいと思うし、実際今の若い美容師さんはあまり外に出て行く機会が少ないと思うので、もっとそうやって広がれば楽しくなると思います。

岡:ただ、今の時代は仲間がまとまってこじんまりすることが多くて、わざわざそこへ行かなくてもSNSなどで情報をキャッチできるんですよね。昔は人に会うのも、そこから何かを知るにも、そこへ顔を出さないとダメだったから、アンテナ張ってる子はそういうところへ顔を出していたけど、今はそんなことは要らないから、多分今の時代で同じことをしてもニーズがないね。

B:FacebookなどのSNSの情報でお腹いっぱいになっちゃてる面がありますよね。今の時代でやるとあまり良くないですか?

岡:良くないというかそのベクトルが求められていない。だから何か違う方法で集約しようとして考えたのがOKAYAMA HAIR COLLECTIONでもあります。

B:すごく素朴な質問なんですが、そもそもヘアショーは、どういう動機でやっているんですか?

岡:やっぱり自分の技術とか自分の美容師像を出していく。そこに女性像があるじゃないですか。あと世界観を証明する。

B:それは誰に対して?お客さんに見てもらいたいのか、同業者に見てもらいたいのか。

岡:全てですね。じゃあF1ってどう?F1の車も買わないけど、イベントやテレビ放映ってすごいするじゃないですか。それと同じように最先端のものや新しいものを自分で表現することですよね。そのために研究もするし、努力もする、そこで世界までとはいかなくても日本で認められたい人がいっぱいいるわけなんです。そしてそういったコンテストなどにエントリーして賞を取れば、ジャーナルが結構認めてくれる。そういう自己発信をすることも出力、つまりアウトプットの1つです。もちろん、賞や名誉などを手に入れる人はごくわずかですが、そこはチャレンジなんです。

失敗のほうが95%くらいで、

認められる人が5%ぐらいかな?でも、

チャレンジをしないと成功しない。

チャレンジしないと失敗もしない。

どっちを取るかなんですよ。

最近の若い子は失敗を恐れて、チャレンジをせずに失敗しないことを取ることが多くて、情報ばっかり入れてお腹いっぱいになっているわけよ。出力より入力が先なんですね。考え方として、入れることばかりで、出さないから『便秘状態』になってる。

大事なのは森羅万象、どんなものも出して入れるんですよ。


B:別の話になるんですけど、以前岡本さんとご一緒させてもらった時に「深呼吸して」って言われて、自分は先出して吸ったの。つまり、新しいものを入れるには、まず出さないと入ってこない。ってことを教えてもらったんです。それが今の話とすごく同じで、今の子って、完全に入力してから安心感を得てる気がする。これから楽しみなことで俺らだったらこうなりたい、ああなりたい、夢も希望もあったのが、なんか不安材料ばっかりが多い気がするんですよね。だからやっぱり入力とかってことは大切やと思うし、今の美容業界、服屋が盛り上がってないっていうのはそういうところにも問題があったりするのかなって感じます。

岡:まあでもそれはうまく出力すればいい。facebookを使って自分を出していけばいい。例えば、BAZさんみたいに毎日自分を出しきってれば、新しいものが感動して入ってくる。その繰り返しをしてるといいけど、そのFacebookを嫌う人もいるじゃないですか。こっそり見て、自分からは出さないという人も数多くいるしね。でもSNSというのは今の時代のものの宝物なので、どんな人でも上に行くチャンスはある。

ホリエモンが近大でその卒業式の祝辞の時に言ってたのが、今の君たちは、競争相手が世界中にいる。SNS、インターネット、そういったものを通じてグローバル化されているから、ケニアの砂漠とかジャングルの中に電柱1個立って、インフラ整備が整ってスマホがあれば、ある天才が一人いれば、あっという間にいろんなことを吸収して、何でもできるようになる。でも今豊な世代の日本人は、何でもあるからそこまで競争はしない。だから東南アジアでもそれから後進国の人ってみんなSNSを使ってどんどんどんどん伸びていってるから、日本と差がなくなってきたときにどうするのって話。日本人としてやっぱりチャレンジすることを楽しむ。もう本当に人生で自分が生涯かけて一個一個挑戦して失敗して挫折をしながらでも取り組んでいかないと。やっぱり苦労とか大変とが先に出てくるようではだめだと思いますね。

B:そういうのもなんかこのヘアコレクションというので感じ取ってくれたらすごい良いですよね。

岡:うん。だから出た人は大変だったと思いますし、携わってる人もそれを成功させるために大変だったと思うんだけど、でもそれが結果形となってまあ4年間やってきてどうだったのってことは、何らかの感じ方はあると思うんですよ。今回出た人も、でなくて裏方をやった人も。でもみんなが集まって何かをするっていう事はやっぱりすごい大切だと思うんで。それに出たいと思えるか思えないかってことも大事だし、実際に出た人は、やっぱり半年間相当それに集中して取り組んでいたし。ショー当日は本当たった3分ぐらいなんだけど。

B:3分!?

岡:3分くらいのためにもうすごい努力はしてるの。そのために努力しないとやっぱり大きくなれないし、で、出しきった後は、あとは入れるだけなんで、要は今は入力してる。

だから今四年間やって一応止めますよってことは、次の世代の人がさらに大きくなって、やったことを思い出したときにもう一回やりたいなと思えば勝手に動き出すと思うんで。

B:うんうんうん。いいですね。その作っていくっていう事じゃなくて、あとは君たちが作りなさいと。

岡:そうそうそう、決めなきゃいけないことじゃないんで。

B:自然発生的な感じですね。

岡:そう。出力が必要になった時は自然に「やろうよ!」って声が上がってくると思います。まあそれが最初に言った、バックボーンなんだけどね。

B:じゃあ今後の展望っていうのはそういう事なんですか?

そういうことです。だから4年っていうスパンを設けるのは4年間でどう思うのか考えて、一応、4年でできないことは5年6年後にやればいいっていう話なんで。

B:だから次確実に4年後あるわけではない?

岡:うん。やりたい人が出てくればですね!


【カリスマ美容師 編】

B:かつて、紀香ヘアーだったりと、

カリスマ美容師が流行してた時代についてお聞かせください。

岡:そうですね。カリスマブームの火付けは、『シザーズリーグ』っていう料理の鉄人みたいな、美容師の対決番組と、あと『ビューティフルライフ』。キムタクが主演のドラマですね。そのモデルになった人は梨花ヘアーを作った、川畑タケルという方なんですけど、ドラマの中のキムタクみたいな感じで、すごく生き方のかっこいい人。

この2つが大きかったですね。

B:やっぱりそういうときは美容業界も盛り上がるんですか?

岡:そうですね、美容師さんはみんな赤い星のコンバース履いてましたね(笑)

B:逆にその当時、ブームの終わりも感じてたんですか?

岡:終わりの幕引きって言うのは、政治的な絡みがあって。美容師を盛り上げていくっていうことでカリスマブームを作って、マスメディアも賛同して、どんどんどんどん出資が集まって、大きな資本が動くんですね。一個人がお店を出すのではなくて、出資会社が投資をして、大きなサロンができる。そこでブルーチップっていうお金が動くんですね。分かりやすく言うと、売れているスタイリストを引っ張ってきて、親店をプロデュースして商品にして出す。そのコアになったのが、ビュートリアムっていう松田聖子の聖子ちゃんカットを作った人がオーナーなんだけど、そこの出身の人が引っ張られて、新しいブランド作ろう、っていう繰り返しの形になって、今の大きいお店が出来ていったんですね。

B:同時に技術も伴ってたんですか?

岡:伴ってはないね。ただ流行を作り上げていくって感じ。その中でも一番出来上がっていたのが、紀香ヘアーを作った宮村さんのところですかね。

B:やっぱり技術もすごかったんですか。

岡:すごいですね、でも技術にしてもブランドカット、ロストカット、フレンチカット、ロンドンカットなどいろいろな流派があるからね。いろんな時代によって新しいとされていたものが崩れて、新しいものがこっちで変わったり。その繰り返しでクロスオーバーしてミックスされて。だから技術も業界全体がそんな中で何かを求めていく。それがムーブメントになっていって、今はナチュラルとかリアルとかかな。

B:サロンを経営されてますが、今サロンが現場で求められているニーズってなんですか?言っていれば1000円でカットが出来る時代ですし、服で言えばすごく安く買えるファストファッションだってある。そんな中でも、服だったらメイドインジャパンが求められているんですね。サロンでもそういうものはありますか?

岡:まぁ、1000円カットっていうのは作業だけなんです。ただ、髪を短くする。サロンワークっていうのは作業でないものがあるんですよね。それがその人のオリジナリティだったりとかその人に対しての設計だったり、プロデュースだったりとか。髪型っていうのは、変えれば性格も変わるくらいかなり影響力があるんですね。何かを変えたいときはサロンに来られるし。女性なんか特に。だからその時に何かを提供できる人じゃないといけないですし。何かを出せるお店を求められているんじゃないかな。

B:沖野さんはどうですか?

沖:一番は価値、期待感だったり、安心感。やっぱり髪を切ることによって、周りから自分をよく見られたいじゃないですか。そこが一番かなと思います。人って認められたいし、それを美容院にいって、周りから「めっちゃいいね!」って言われたら嬉しいし。それをしてもらえるところが求められると思う。だから僕は期待感があがるようなカウンセリングや提案を全部するように常に心がけています。そんな価値だったりそこでしかできなかったりっていうのが一番求められているのかなと思う。

B:岡山の県民性、文化から考えて、美容業界の限界ってぶっちゃけ感じたり、あったりしますか?

岡:今の一番の問題は、やっぱり人手不足。苦労、大変、収入、休日が先にくる子が多いからそこが満たされないとやめちゃいます。

B:ネガティブな質問なんですけど、美容師になってもやめていく方って何割くらいなんですか?

岡:全体で言うと、残る子は20%ないんじゃないかな。

沖:岡山のメインがビューティーモードと岡山県立理美容とビューティーカレッジ。聞いた話ではあるんですが、総人口350人の中の約半分位は東京、大阪、名古屋の大きいところに就職する子が多い。残った170人くらいの半分は美容師さんにならない。その残った子達が岡山で就職を探すっていう状況。でも欲しい美容室は何倍もあるから取り合いになる以前に捕まらない。

B:なぜこんなにも独立する人が多いんですか?自分達の時代って10年とかやってやっと独立できるかできないかとかの現状だったのに。決行簡単に店を出しているイメージがあるんですが。

岡:そんなことないよ。10年やって独立って子が多い。只、その後伸びない店が多い。ずっと一人っきりとか多くても三人とか。要は広がらない。これは岡山だけじゃなく全国どこでもですね。

根本的なことを言うと独立はいいよ。カリスマブームの延長で出来上がった企業帯があるんだよね。そこが何百店舗とか上場してて、企業帯だから、年間どれくらい出店して、どれくらい出店しないといけないっていうのがある。そんな中で、昨今の少子化にあたって、一番打ち当たっているのが人手不足。話が戻ってしまうんだけど、カリスマブームが終わった訳って言うのは、ある方が、1000円カットや10分カットといわれる、お店を駅の構内に作ったんですね。日本では厚生労働大臣が認可している美容師免許が必要なんだけど、それを変えようとしたんですね。

B:なぜ?

岡:免許を柔らかくし、人手を簡単に手に入るため。しかし、そうすると危ないから従来の美容師さんの組合とかが阻止する為にリークを働かせて阻止したんだけど、それで「無免許美容師がいる」というような形で新聞などにも取り上げられて、番組も終わったりと、すごく政治が入ってくるんですね。で、美容師法の改正は免れたんだけど、そのときもし免許取得の法律が変わっていたら、海外人労働者が増えるなど、別の展開があったと思う。

今回OKAYAMA HAIR COLLECTIONの冒頭でも伝えたんだけど、新しいライセンスのカテゴリーを作るため、今年からアジアに向けたアカデミーが作られます。日本でやる美容師は美容師としてなんだけど、僕らが若い頃はロンドンのサスーンにいって、学んで帰ってくる。そこには免許とかのカテゴリーは無いんですね。でも、ロンドンで学んで日本に帰ってくると、“あの人ロンドン帰りよ”っていうのが発展途上の日本の美容師さん。今のシンガポールとかタイとかマレーシアとかインドネシアの美容師さんは、ロンドンじゃなくて東京に行きたがっている。日本の技術は世界でもトップレベル。感覚もファッションも。だからそれをビジネスにしようとしているんですね。で、日本で人が足りないじゃないですか。そこでインターンシップとか新しいカテゴリーをつくって、日本で2年労働ビザが降りる。そこである一定の免許を持った講師の人が技術を教えながら育てていく。それで母国へ帰ると、アジア進出した日本の企業の美容室が待ってますよという流れ。さらに日本の人手不足はインターンシップでまかなえるわけですね。だから今よく若い方が言う、苦労•大変•収入のこと言わない外国の方がいっぱい来るわけですね。

B:それに対して現場で社員として働く沖野さんはどう思う?

沖:危機感は感じますね。

B:そういった苦労•大変•収入のこと言わない人たちとお互いが向上していく関係も築ける?

沖:人によりますね。

岡:だからそういった気持ちの持ってない若い美容師さんは負けてしまうんですよね。

B:そうですね、そこの意識のベクトルがないとどんどん浸食されて負けちゃうことになるじゃないですか。

岡: まぁそれは何処の世界でも一緒。ITだってどんどんきているし。だから美容師も一番の課題であって。大きいところが1月から順番に面接していって4月辺りには過半数をとってる。とらないと彼らがつぶれちゃう。それでチャレンジしない子は残っちゃう。チャレンジする子は怖いけど東京の大きいサロンでやってみよう!と思う。

B:昔の世代に比べて、今、チャレンジしようという子たちは少ないんですか?

岡:どうだろう。最初はわからないから、とりあえず分からないから大きい会社に入りたいん子が多いんじゃないかな?自分は逆で、小さいところでやってる人の所に入りたい。

B:大きいところと小さいところの違いはあるんですか?

岡:簡単にいうと、大きいところは会社員になるわけです。小さいところは弟子入りする感じですね。要は師弟制度をとるか、会社員になるかぐらいの差。まぁ収入も違うし保険制度とかも違うし。

B:僕の世代の友人なんか12万の初任給でそこからマネキン買って道具買ったら全然お金がないってよく聞いていたんですけど、それでもやりたい人が残ってるってよっぽどですよね。洋服屋も同じなんですけど。

岡:でもそれは自己投資なんで、時間とお金っていうのは自分の肥やしに使わないと大きくはなれない。それをした人が将来10倍になって返ってくる。だから10代の頃はレールに引かれて、小中高、大学といって、20歳になったときにレールを引けない子がいる。

B:どうやったら引けますか?

岡:目的だよね。自分がなりたい自分をどう思っているか。後は「夢」。夢に向かっていくのか、のんびりやるのか。のんびりやった方が楽だよっていう子は近いところしか見えないよね。でも遠い自分が見えてる人はちょっとずつ階段を昇っていくよね。その分近道も探せる。要は、なりたい自分を持っているかどうか。3年後の自分、6年後の自分、10年後の自分。

B:沖野さんは今どういった感じで、その投資が自分に返ってきてると感じる?

沖:なんか楽しいですよ。デビューが丁度25歳の前だったんですけど、ある程度お客さんから指名してもらえるようになって、ある程度美容師としてのライフスタイルが出来てきたんですけど、それが楽しいというか、充実感がすごいんですよ。仕事をしているっていう感覚はあんまりないんですけど、わざわざ会いにきてくれるっていう感じで、そこで仕事させてもらえてるのは有り難くて。自分がアシスタントから始めて、技術を岡本さんに教えてもらって、自分の表現したいことが徐々にできるようになって、そういうのが自分に返ってきているのかなと思う。自然とそういった流れがどこからか変わってきました。休みもいらないっていったらいらない。オンとオフをつけないんじゃなくて。

B:俺もそう。だから休みとかそういう感覚とかもなくて日々勉強やから吸収の時期なんやろうね。ヘアコレクションも終わって今また入力してる時期なんかな。またそれが溜まったときにアクションとしてっていう感じですよね。

岡:“石の上にも三年”っていわれるぐらい、3年っていうのは必ずいるんよ。3年を我慢しないと次に進めないっていうのはあると思うんですよ。中学校も高校も3年じゃないですか。だからそのスパンで成長っていうのが見られるから次にいける。小学校も低学年高学年で3年で区切っちゃうんだけど。やっぱり3年の成長っていうのは大分違うよね。そのときに自分が突っ込んでお金と時間を掛けられるか、それによって返り幅は違う。何が返ってきて欲しいっていうのは、人だったりお金だったりそれは共通するもんなんだけど、

自分が本気でやると必ず何かが返ってくる。

そこが分かれば楽しくなってくる。

例えばなんだけど、『レジ打ちの女の子』というのがあって、レジの子もすぐ止める子多いけど、何度も仕事が変わってどんどんどんどん自分の履歴書が汚れて、自分を見失って何をしていいのか分からなくなって。でもこの話は、その子がレジ打つのを上手くなろうと思ってブラインドで打てるようになって、そうなるとお客さんとも話せるようになって周りが見えてくる。それをやったらお客さんがどういう人かも分かって、掛ける言葉も変わってくる。

B:最初はただレジ打つ訳やんか。作業でしかなくて。さっき言った1000円カットも作業でしかなくて、その人をどうこうするっていうのもなくて、多少はあるかもしれないけど、でもそこは一番じゃなくて。要は回転させないといけないから。そうなると必然的に質が下がってくるよね。

岡:そうやってそのレジの子は、コミュニケーションを繰り返すことによって自分のところでレジ打ちたいっていう人で行列ができるようになった。そしてあなたのところで買い物したい、話をしたいっていう人が増えて、あるとき『あなたの所に買い物をしに来たんだから』という声を掛けられて、彼女は泣き崩れた。っていうお話なんですけど。

仕事ってそういうので返ってくる訳じゃないですか。だから今大きなことを実感してると思うし、また自分が独立だったりお金を投資したときに返ってくる。そこがわかんないと投資しても大きくならない。そういう子が岡山でも多いと思う。ちゃんと想いを心底伝えていればいろんな人がお客さんを連れてきてくれるかな。そこを取り組むために時間とお金を掛けていかないとダメだよね。まぁお金は無いなら無いなりに使えば良いし、もしそれを仕事以外のことで楽しく使うのも良いし。それはそれでガス抜きもいるだろうし。ただ、使ったものがどうやって返ってくるか常に考えてほしいですね。

20代のがんばりは30代で返ってくる。30代のがんばりは40代、40代のがんばりは50代。そうやって10年っていう遅れの法則っていうのはあるから、花開くのは少し遅れてくる。それまで我慢する。結果を焦らずに信じてやれば必ず花は開く。自分の未来が見えだすから、いろんな方向にいけるし、選択肢がいっぱい出来てくる。そうなったときに飛び立たせてあげたいし、肩を押してあげたい。それが人生だと思うから。人ってやっぱり成長するのを自力でする人と周りの仲間に助けられてする人と、成長と伴って仕事も全て上手くんじゃないかな。やりたいことも変わってくるし。だから苦労とか大変とかお金のこととか休みのこととかあまり気にせず、日々頑張ってほしいですね。



【美容学生質問 編】

B:今回のインタビューを行うにあたって、岡山ビューティーモードの学生約100名から質問をいただいたのですが、まずは質問の中で一番多かった収入について教えて下さい。

岡:最初は多分15万~16万ですね。

ちなみに僕は6万でした。今でいう10万ぐらいかな。

そこからの下積み時代はあっという間で、21,22のころにはお客さんたくさんついて、給料が6万から25万くらいに上がって。そのころには食えるようになってましたね。そして、先輩がお店出して、1年後ぐらいに先輩の美容室に行きましたね。

B:岡本さんは独立がすごい早かったってお聞きしたんですけど。

岡:そこのお店が男4人でやってて、みんなもう100万以上は売上げていて、4人で月に600万以上は売り上げてたのね。だから若くてもとりあえず4,50万はありました。みんなでずっとやってたから、企業化するって考えがなかったんだよね。だからみんながそれぞれ独立して。

B:じゃあ、そこでみんなで企業化してたらまた何か変わってたんですかね。

岡:そうでしょうねえ、そういうマネジメントできるような人がいたら僕の人生もちょっと変わってたかもしれないですね。でもそのときはお店を出すしかないなと思って、貯金もなかったけど、おばさんが美容室をやってたから、保証人になってもらって、それでこのお店を立ち上げて。それが24歳かな。

B:そのときのお店は自己資金どのくらいで立てあげられたんですか?

岡:お店は、600万借りて、200万貯金だから、800万くらいかな。

B:あとほかに学生の皆さんが聞きたいこととして、お店を出す時に例えば何に一番お金がかかるのかとかお聞きしてもいいですか?

岡:お店を出すときは、だいたい1000万はかかりますね。というより、これってつまりは投資じゃないですか、人生の中で一番大きい投資。ってことは高い額かければかけるほど、高い額が返ってくる。かけなければ、かえってこない。そういうことですよ。一生に一度ですよ。だからそこにどれだけのものを投資できるかって話ですよね

B:その見通しが立てられない人が多いというか、僕なんかもこわいんですよ。やっぱり1000万投資するって相当怖いじゃないですか。それでも目に見えないものが必ず帰ってくるっていう、今日の話を聞くと、お、やろうかな!って思う人も出てくるかもしれないけど。

岡:やれますよ、全然大丈夫。ベンツ一台位新車で1000万くらい。それ買うこと考えたら、全然いいでしょ。

B:そうですね、車は利益生んでくれないけど、商売は利益ありますもんね

岡:そうそう、だからそこでベンツを買っていい顔するよりも、お店を出して儲かったほうがいいんじゃないかな。会社なんかもそうだし、まずなんか起業するのが大事で。自己投資したものに対して、全力でそれを回収する設計を持ってれば出せるし、お店を出すってことは、それに何かが集まってくるってことじゃないですか。だからお店を出すと、スタッフが集まってきて、お客さんが集まってきて、でお金が集まってきて。そういう原理原則があるのね。それをできるようになるために、修行するのよ。それができるようになるまで時間がかかるから。

B::今の子たちはその時間を省いちゃう傾向があるんですかね?

岡:あると思う。でも大きい企業にいればずっと安心なのかって言ったらそうじゃないとも思うんですよ。会社員とやってることは一緒なんで、結果が出せなければ給料は上がらない。それが会社の力でできてるのか、自分の力でできてるのか、そこが大きな差です。自分が一人になった時に、何も出来なかったり。

B:よく勘違いするって言いますもんね。どの業界でも、会社にいたら自分は出来るんじゃないかなって思って、いざ独立してみたらけちょんけちょんにされるっていう。

岡:だからそれをしようとするなら、そこで勝負するかだよね。会社がそれだけのお金をかけてくれるからできるのであって。だからたたき上げっていうのは、一個一個クリアしていって、自分の力でできるようになって。そこにお金が加われば、5倍でも10倍でも増える。だから、そこが大きな違いかな。

B:沖野さんはどう?

沖:今すぐにっていうのは・・・まだやり残してることがあるっていうよりはタイミングとか自分の中にそういう時になったらくるもんがあるんじゃないかなって思ってます。

岡:だから、そういうときが来たらできるのか出来ないのかっていう話ですよね。

うちのスタッフはみんなそれができる。必ず成功はする。

B:じゃあ次の質問に行きます。素朴な質問ですが、寝る時間とか休みはありますかっていう質問が。まあ彼らはこういうことすごい気にしてるみたいで。

岡:まず、その休みっていうのが完全1日オフなのかどうか。美容師さんって休みの日は講習やコンテストがあったりもする。それが休みなのか仕事なのかってところですよ。休みととらえて休みの日にどこどこの講習行ったんですよっていうのと、休みなのに行かされたんだっていうのでは、大きな違いがありますよね。休みは、普通にないです。サービス業なんで。サービス業は人が休みの時にサービスをする仕事なんで。

だから祝日とか休日はもちろん仕事だし、お客様がオフの時に自分の時間を使ってサービスするっていう感じ。でも休まないと体壊れちゃうんで、大体の美容室は月で隔週タイプじゃないかな。

B:ちなみに寝る時間はどうなの?沖野さん

沖:取ろうと思えば取れます。時間の使い方次第。

岡:美容師で一番大切なのはライフワークっていうか、

お店で働いている時間以降で何をするかなんですよね。

B:オッキーはそのへんどうなの?岡本さんだとサーフィンやうまい飯を食うっていう、あとはご家族だったり。沖野さんにとってライフワークは何?

沖:人に会うことですね。人と会って酒飲んで。

B:実際そういうことする人多い?

沖:そういうことしてる中で美容師さんに会うことはないですね。

B:そうだね、俺もあまりそういうのはないと思う。外でほかの美容師さん達にあったりはあんまりしないよね。個人的にはもっとそういうのが増えれば面白いと思う。俺らの時代はそういうの多かったから。

どの業界でもそうだけど、ストリートにいる人たちが減ったよね。そういうことを肌で感じてます。沖野さん自身は、出歩くの自体が楽しいから出歩いてるの?それは多少なりとも下の子に見せたいと思ってやってるところもある?

沖:そうですね、実際先輩に教わったからやっていることも多いし、見てて自分もこうなりたいとかあったりして。たとえば、一人で行けるお店が欲しいとか。そういうのってなんかこうすごい大人だなって。

自分の居場所っていうのを外に作ってる

っていうのがすごいかっこよかったんですよ。早くそこになりたかったけど、勇気でなくて。若いころはずっとそうだったんですけど、最近やっとひとりで行けるようになって。そこから輪が広がって知り合いが増えて、っていう外に居場所がたくさんできてきつつある。こういうことを実際に僕も先輩に教わってするようになったんで、下の子もそれをみてそういうことしていってほしいし、僕も引っ張って連れて行ったりして、こういうやついるんですよよろしくお願いします見たいな、紹介したりして。僕もそうやって紹介してもらってたんで。

B:いいですねー。あとは、苦労した時期を聞きたいっていうのもすごい多かったんですけど、一番苦労した時期は?また、今後の夢はなんですか?

岡:一番苦労したのは、長く店やってると、急にスタッフがいなくなったりとか、自分が脱皮する時期があるんだよね。うちのスタッフは有り難いことに、だいたい10年くらい勤めてくれる人が多くて。だめだったらすぐ辞めちゃうんだけど、ちゃんと続けれくれる子は長くいてくれて、ただスタッフが辞めちゃう時期が重なると、売り上げも下がって。その時に、苦しい思いはしたけど、でも自分一人で何とかしていければやっていけるよっていう気持ちがあった。だから美容師として苦労したことは・・・ないかな。

沖:そんなめっちゃ苦労はないですね。手荒れとか、やりたくてもできないとか、そういった苦労はありますね。ケアは病院行って薬塗るとか手袋はめて寝たりとかはずっとやってましたけど、体質を改善しなきゃなって最近は思ってます。

B:じゃあ今の夢と今後の夢を教えて下さい。

岡:僕はもう結構年なんで、老後の仕事をどうしていこうかなっていうのはあるかな。具体的には分からないけど。何歳まで髪を切れるのかなとか。今でも自分のスタンスを模索している感じですね。基本的に日々わくわく楽しければいいんで、それを探しています。60歳になっても70歳になっても、わくわくすることがあればいいなって。それがどういう感じだったら楽しいのかなっていうのを日々考えてることかな。

沖:自分に挑戦したいっていうのはすごくあります。コンテストなり、そういうものでちゃんと結果を残したいし、それが自信にも繋がるだろうし。伸びる自分っていうのが見えてくるだろうし。初タイトルを取ったんですよ!カトレアっていうショーで、フォト部門で新美容出版っていうジャーナルさんところの新美容賞っていうのをいただきました。

岡:新美容出版は美容院の雑誌では一番メインの雑誌なんで、美容師はみんな、新美容は取りたいなっていうのあるし。俺は取ったことない(笑)。

B:コンテストに出る子は多いですか?

岡:コンテストに出る子はまあ多いですよ。コンテストに特化してる人もいる。コンテスターっていうんだけど、サロンワークとコンテストを軸にしてる。俺なんかはコンテストっていうのはそんなに力を入れてなかった。それよりもクラブでショーしたり、遊びに力を入れてたかな。イベントをクリエーティブとしてやったりして。それが結果ヘアを通じてお客さんとシンクロして繋がるから。

B:お客さんにもよりますよね、どっちが楽しいかって。コンテストに勝つような技術のあるところに行きたいのか、そういうカルチャーの部分で遊びにいきたいのか。だから両方来てくれたらいいですよね、一番。

岡:コンテストっていうものをまるごと否定しちゃダメじゃない?だからある程度、必要。でもあまりコンテストばっかりになるのも、がり勉君みたいな遊ばないっていうイメージが出来ちゃうので。なんか、リアルじゃない。コンテストでコンテストに勝つための技術を身につけるとかっこ悪くない?って言ったりするんだけど、もっとかっこいいもの、肌で感じるものをやっていったら、とは言ってるんだけどね。コンテストっていうのを否定はしてないし、自分もトライしてきたいし。

B:そういうときって自主練みたいなのはどのくらいやってたんですか?

岡:それは寝ないでやってた。うちは自由に使っていいから、コンテストないときでも課題があったりするから、撮影っていうのは定期的に彼らはしてるよ。それはHPで発信してく。

B:こいうことはできますよとか、そういうアプローチは常に発信していってるっていうことですね。

沖:岡山の人たちに発信はしないといけないですからね。

B:次に、美容師になって一番良かったなとか、嬉しかったこと。この仕事してよかったなと思うことを教えて下さい。

沖:全部もろもろ含めて、人間として自分が成長出来てる、させてもらってるっていうのがでかいですね。自分の生きてる自分の人生の中で、この仕事を選んで、この美容院に入れて、いろんな人と知り合いになれるじゃないですか。そういう仕事は限られているし、そこでいろんな事を教えてもらえるんですよ。いろんな考え方があるなとか。そういうのを知って自分の中で気になったことをきっとチョイスしていくんだと思います。そういう中で今自分が成長できてるなとか、多分5年前と考え方捉え方は全然違うし、みなさんもそうだと思いますが、それがほかの人より出来てるんじゃないかなっていうのがデカいですね。

岡:28歳でカットの全国大会で優勝した時が嬉しかった。それはそれで終わったんだけど、そのあとロスの世界大会に日本代表で出れて、そのあとショーに出れたこと。自分がやったことで、一応ヘアショーにも繋がったから。

B:美容師で一番大切な事ってなんですか?

岡:やっぱり練習とか勉強することは大切。とにかくストップしないこと。それは年を取ってもしないといけないし、要は知っとかないと話できないじゃん。今何流行ってるんですかとか、こんな感じじゃない、とかね。

B:そのへんは年取ってくると億劫になってくる人多いと思うけど…

岡:わけわかんなくなってる人多いと思うけど、そこがやっぱり出来ることと、それを技術に落とし込むことはしていかなきゃいけないよね。美容師でやっていく以上。そこで売りものをつくらないといけないからね。

B:逆に言えばそれがさっき言ったように、ワクワクにもつながることになりますもんね。ワクワクしないとそういう事も出来ないですよね。

岡:雑誌見て、今こんな感じが流行っているんだろうなっていうのをフィードバックする人も多いけど、実際にストリートを見て東京行って感じて帰ってきて、かっこよかったな、あの子可愛かったなって、そういうことでワクワクしたものを落とし込めればいいよね。

B:学校で学んだりする事以外にしたほうがいいことを教えて下さい。

岡:遊びだよね。

B:学生時代からやっていたほうがいいこと。美容師になって役に立つことを教えて下さい。

沖:これも遊びじゃないですか。

岡:遊びだけじゃあれだから、スクラップ。つまり切り抜きですね。今だったらスマホで撮ればいい。だから自分のファイリングをするっていうこと。

それをやって、自分でカテゴライズして、インプットしておくわけよ。それがある時期が来た時に、なんでこれをかっこいいと思ったんだろうって考えらるじゃん。で、それをずっと見てたら、俺ってこういうのが好きなんだなとか、いろいろ見えてくる。自分のデザインマップができてくるんですよ。

あと俺が教わったことでいうと、カラーシャワー。2週間なり1週間。日にちを決めて、例えば、緑って決めたら、街中の緑を撮っていくんですよ。緑のものを感じた時に撮るんですよ。で、それを緑の特集で、自分のスクラップすると、自分の緑に対する感じ方が見えてくるんです。今週は緑とか、来週は赤とか。それがかっこよくなるんですよ。撮り方とかもめっちゃかっこよくなるんですよ。

カラーシャワー、カラーを浴びるっていうことで、街中に溢れてる自然とかモノに対しての色を自分でインプットしていく。

B:結果何に役立つんですか?

岡:色に対する感性。そうやって何でこんな色をこの人は使ったるんだろうって考える。何でこの色にハッとしたんだって。

とにかくかっこいいものが見えてくる。

だから、スクラップっていうのは、やったほうがいいと思う。紙だけに限らず、かっこいいもの全般。できたら白黒とカラーに分けたほうがいい。モノクロでかっこいいものとカラーでかっこいいものは変わってくるので。集まるとおもしろいですよ!

B:どうやったら正確に早く髪が切れるのか知りたいです。また髪を染めるとき根本から染めれる方法はありますか。

岡:習った通りにやったら根本から染めれるし、カットは練習しかないですね!

B:人見知りなんですが、初対面の人と会話を広げるこつはありますか?また親しみやすいと思われるためにやっていることはありますか?

岡:コツは最初に自分から必ず挨拶をする。

先に言ったもん勝ちぐらいに声をかける、挨拶をすることで全然話せる。おはようございますって先にいうことが大事。どんな人でもすれ違う時におはようございますって言ったら、おはようございますって言ってくれるじゃん。挨拶を最初に自分から知らない人にする。

沖:僕はまず笑顔を絶やさないっていうか、人に入るときは、なんならちょっとおもろい顔みたいな、ちょっといじってくださいっていうふうに入ることが多いので。自分が無理に話そうっていうよりは、いじってもらって、お客さんに遊んでもらうぐらいの感じで行けばすっと会話に入れる。昔はそうしてましたね。

B:なるほど。次の質問なんんですが、

美容師さんにとってのおしゃれは、流行に乗ることなのか、個性を出すことなのか、どっちなんでしょうか?

沖:流行に乗っているだけじゃダメですね。流行を売る仕事なので。個性もいると思うけど、個性だけでもダメだと思います。

B:どっちも必要ってこと?

岡:個性が先かも知れないですね。だって、似合ってないのに流行を追っていたらおかしいじゃん。個性にあった流行とかトレンドを入れるほうがいいよね。

B:次の質問で、お客様の髪の毛を切れるのはいつごろからですか?

岡:人の髪を切るのはいつでも切れるんだけど、ニーズに合わせて切れるようになるっていうと、ある程度のカリキュラムっていうのがあるから、それを全部クリアした状態が基本で、それをクリアするとなると、2~3年はかかるかな。髪を切るだけじゃなくて、髪を切るには櫛でとかさなきゃいけない。とかすことができない、最初。分けとることが出来ないので。それを均等に、分けとることができるよになるまでって言ったら、また時間がかかる。それが綺麗に同じ角度でとかせるってうのもまた時間かかる。それは手が慣れるまでっていったら、やっぱり3年。それがパーマを巻いたり、ブローをしたりとか、分けとるとかとかすとかっていうことが繰り返しすることで熟練してくる。髪を触ってとかして持つっていうところで、初めてハサミが入れられる。あとはどういう位置でハサミを入れたら、どういう形になりますよっていうのは、そっからの話なの。一定の綺麗なラインがでるまではなかなか時間がかかりますね。

B:就職先として自分にあったサロンを見つけるには?

沖:なりたい自分の像が見えていれば、勝手にみつかると思います。

岡:なりたい自分になる。本当に美容師さんになりたいんだったら、どういうヘアスタイルが好きなのか、どんなヘアスタイルのお店に通っているのか、自分がヘアスタイルをしてもらうことが好きなのか。この人にしてもらって、いつもかっこいいな、こういうふうになりたいって思った時に店を選ぶ。お客さんと一緒の感覚でいいと思う。

B:次に、身長高いと大変ですか。という質問ですが、いかがでしょうか(笑)?

岡:かっこいいです。高いほうがかっこいいじゃないですか。立っているのがきついなら座って切ればいいですからね。

B:ぶっちゃけスタイリストさんにしてもらう最後のセットが気に入らないっていう意見をよく聞くんですが、いかがでしょうか?

岡:自分じゃないからね。それは多分ある。ちょっと気にする人は気にする。明らかに切立てとかね。

沖:自分が出来ているか出来ていないかがわからないが一番ですけど、そこはイメージの共有だと思うんです。人がなりたいイメージをこっちがわかってあげて、それができているか。

B:その共有というか、こうなりたいっていうのが見えない子は

難しくない?

岡:難しいですね。

B:そういう子が圧倒的に多いじゃないですか。

岡:なりたい自分がわかって子はほどほどでいいんですよ。どうやったって無理だから。ある程度なりたいイメージを持っている子は近づけることができる。100パーセントはいいかないですけどね。でも近づけてあげることはできる。結果自分で触って良くなってれば、俺らはいいと思っているので。

B:次に、日用品のシャンプーとサロンで売っているシャンプーの決定的な違いを教えて下さい。

岡:質!これは絶対。

そもそも入ってるものが違う。何でもだけど、量販のものは、ローズエキス配合、何%入ってるかですよ。0.1%でも配合。あとは匂いだけつければいい。でもサロンで売ってるものは、それなりにきちんと研究して成果がでるものできちんと作られている。

B:クラフトさんは何を基準に選んでいるんですか?

岡:試すよね。あともう1個、美容室が気にすることは、ネットに流れるということ。

B:ネットに流れてるモノは怪しい?

岡:怪しくない。安くなるんですよね。

それで値崩れしてしまうんですよね。

B:次に、カットが4200円とか4000円近辺が多いと思うんですが、やはり相場は決まってるんでしょうか?

岡:財布の具合じゃない?お客さんの。東京だったら7000円ぐらいするよ。

B:指名したら高くなるとかあるんですか?

沖:お店によっては指名したらプラスいくらとかはある。あとスタイリストさんによって値段が違うサロンもある。

B:岡山はどお?

岡:いろいろある。値段というのは価格破壊されてるじゃないですか。ファストファッションとか。ホットペッパーとかで値下げ合戦しているところが多いよね。やっぱり価格が崩れちゃうんだけど、その辺の平均値からどのぐらい高くするかって割り出したらそのぐらいになる。それよりも高くしたらいいんじゃないのっていうお店と、同等にしたらいいんじゃないのっていうお店と、それより安くしたほうがいいというお店と、ここはお店の戦略になってくる。安ければサービスは落ちますから。4000円から4500円っていうところは一般的なサービスだと思う。これは時給換算するとそうなるね。生産性とか。30分でこの値段がもらえたら高いよね。1時間で4500円なら9000円あがるでしょ。

基本はワンセクション、ひとつの工程が20分、ブローが20分、シャンプーが10分。もろもろで1時間。でも全然短縮はできますよ。要はちゃんと切れれば何分でもいい。ちゃんと切れる上手いひとは10分とか15分。それでも出来るから上手いって言われるんですよね。

4000円や4500円は相場だからそれに合わせてるだけだけど、うちなんかはそれより1000円高くしてるよね。5000円ぐらいにしておいて、安い方がいい人には割引クーポン出して、それを言わない人にはそのままのお金をもらえばいいし。

B:最後に、病気をされたあとと前の心境の変化をお聞きしたいんですが、変化はありましたか?

岡:そんなに変わりはないよね。でも病気したときはみんなに感謝したし、その間で感じたことがOKAYAMA HAIR COLLECTIONに繋がっていきました。治るか治らないかわからない病気入だったんですけど、入院8ヶ月、自宅療養が2ヶ月、計10カ月ぐらい休んだんです。病気したあとは人に対しての今まで以上の感謝あったし、それといない間にすごいみんな成長してくれたんです。

B:そのときのお店はどうだった?

沖:それは大黒柱の岡本さんっていう絶対的存在がいないっていうのはすごく不安でしたけど、逆に頑張らなきゃ、みんなで盛り上げていかなきゃいけないという想いがありました。岡本さんにも不安要素を与えるわけにいかないので、僕たちこんだけやるのでしっかり治してください。ゆっくり休んでくださいって。

沖:退院して最初にお店に来られた時は、ほんとにガリガリでしたね。

B:ハサミ持てないぐらい?

岡:退院したときはね。

B:そっからどうやって復帰した?

岡:まず体が動かないよね。だからリハビリを2ヶ月して、取り合えず歩くことから始めました。

B:病気をされる前の岡本さんのイメージはどうでした?

沖:デカい存在。圧倒的存在。

B:今はどう?

沖:話しやすくなったっていうか、近づきやすいっていうか。

岡:いなかった時にすごいみんなやってくれたし、うちの家族にも感謝してるし。自分がずっとこの仕事やって来て、本当によかったことしかない。感謝してるだけで何もなかったから、OKAYAMA HAIR COLLECTIONで恩返ししようと思ってやらせてもらったし、お店に対してもみんなにできる限りのことをしてあげたいなと思ったし、でもほんと変わったことって言うと、いつ何時何が起こるかわからないので、そうなった時に後悔しないようにしておきたいね。

B:お店に帰ってきたとき楽しかったですか?

岡:そりゃ、楽しいよ。髪切れるし、お客さんも待っててくれていましたし。

B:岡本さんが帰って来たときの、沖野さんの心境の変化あった?

沖:活気づきましたね!モチベーションもあがりました!

岡:そっからぐっと伸びてくれたもん。みんな急成長してくれた。

B:最後にクラフトネオのいいところと、今後のビジョンを教えて下さい!

岡:いままでと変わらず。ひとりひとりの個性があふれたお店で、それぞれの持ち味を生かして、お客様のライフワークをサポートできるヘアスタイルを提供していきたいってみんな思っている。お客様はうちの店についてるんじゃなくて、うちのスタッフ、個人についている。だからこのお店は個の集合体なの。だからうちの沖野良二はうちの商品だし、もちろん他のスタッフもそれぞれがブランド。それが集まってるお店なので、そういうモノはそのまま続けていきたい。

B:それでは読者に一言お願いします。

岡:必ずみなさんどこかの美容室に行くと思うので、是非ヘアスタイルを楽しんでください。自分を変える、自分のテンション上げる、すごくいろんな要素があるので、ヘアスタイルを楽しんでください!

沖:美容室って、気分を上げたり幸せになれるところだと思うので、もっともっと楽しんでもらいたいですね!

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Guest

岡本 耕司 Koji Okamoto

岡山の有名サロン『hair craft neo』オーナー。

OKAYAMA HAIR COLLECTIONを立ち上げ、

実行委員長を務めるなど、多岐に渡り、

岡山の美容業界を盛り上げるべく活動を行う。

Guest

沖野 良二 Ryoji Okino

岡山の有名サロン『hair craft neo』スタイリスト。

コンテスト『カトレアプロフェッショナルトロフィー2015』

フォト部門にて、新美容賞受賞など、実力派スタイリスト。

Interviewer

BAZ-K

人気セレクトショップ『THE MANSION』のオーナー。

セレクトにとどまらず、オリジナルブランド(W/BLUE)の

展開の他、アーティスト活動、イベントプロデュース、

BARの運営など多岐に渡り活動を行う。

学生インタビュー協力

岡山ビューティモード

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