岡山の人にfor youを!

BAZ-K(以下、B):ウェルカムデンタルクリニックさんは、岡山の街をお口を通して元気にしたいという想いから、『岡山の人にfor youを』という理念があるんですが、なぜこういうことを山﨑先生は考えられたんですか?


山﨑(以下、山):この考えを理念に掲げる歯科医院を開業するきっかけになったのは、大学病院で働いていたときに、障がいのある方がたくさん来院され、よく診察を行っていました。昨今では障がいのある方の低賃金についての問題などよく耳にするのですが、その方も岡山の街のメンバーであり、県民じゃないですか。であれば自分たちが障がいのある方のきっかけ、いわゆる安定雇用のきっかけとなる環境をつくることで、障がいのある方が今以上に元気になるのではないかと思ったんです。元気な人が増えれば、みんな岡山の街に住むし、岡山の街で働いているので、街自体が元気になるだろうと考えたんです。これがこの理念が生まれたきっかけです。では、それをどうやって表現していくかとなったときに、私自身、岡山が好きで、岡山の街が好きだけど、街を元気にするには人を元気にしないといけないと思うんです。そこで歯医者という自分が人を元気にするにはどうすればいいかを考えたとき、やっぱりお口を通してではないと、自分の職業の価値はなくなるんですね。私は歯医者なので、お口を通して人を元気にして、それが何かのきっかけとなり、岡山の街を元気にしたいと考えています。


B:そんな理念のもと日々の治療を行うウェルカムデンタルクリニックさんの技術的な指導などは、他とは違うところは何になるんでしょうか?


山:各クリニックによってやり方は様々なんですけど、うちのクリニックでは各分野の先生を呼んで学んだり、検診を行っています。やっぱり来院される方のストレスを払拭していかないといけないと今後成り立って行かないと思うんです。なので、来院された方のストレスをどれだけこの場所で払拭できるかを考えています。例えば、インプラントをしないというクリニックもあれば、矯正もしないというクリニックもあります。仮に患者さんが「どうしても歯を抜きたくない」と言われたときに、「うちのクリニックでは治療できません」となると、ストレスを払拭できないということになりますよね。であれば治療については、インプラントや矯正も取り入れようという考えです。ただ、自分だけで抱え込むのではなくて、その分野からご意見をいただいたり、その先生をご紹介することもあります。

B:それはうちのバーでも同じようなことが言えるんですが、うちのお店の場合は、“空間”と“ご縁”を大切にしている場所なので、それをより大切にする手段としてお酒を提供しています。なので、もしお客さんが本格的なカクテルをお求めになるのであれば、自分が自信を持って紹介できるお店は紹介させていただいています。自分のお店だけで情報や利益を共有していては成長もできないと思うし、やっぱりみんなで共有することで、みんながWINの関係になれればいいなと思っています。



B:治療でいうと、近年ではインプラントでの治療を押される歯医者さんが多いと思うんですね。でもインプラントって正直高いじゃないですか。それでもお勧めするのはどんな理由があるんでしょうか?


山:治療方法の考え方になるんですけど、治療箇所によって治療法の選択肢があるんですね。ブリッジをするのか、入れ歯にするのか、インプラントにするのか。まずブリッジという治療は、無くなった歯の両端を、健康だとしても削って橋渡しをする治療で、保険内で治療はできます。では、健康な歯を削らずに治療するとなれば、入れ歯です。保険外のものももちろんありますが、基本的には入れ歯も保険内で治療できます。ただ、入れ歯は削らない代わりに、歯と歯を抱えるような形になり、歯にフックがかかる場合があるので、審美的に気にされる方もいらっしゃいます。特に若い方だと気にされることがありますね。最後にインプラントというのは、失ってしまった歯の箇所にチタン性の人工の歯根を埋め込み、その上から人工の歯を被せる治療法です。外科の手術が必要になりますが、機能的に人工の歯として役割を果たしてくれるものになります。

B:その外科の先生はウェルカムデンタルクリニックに呼んでいるんですか?

山:来ていただくこともありますし、ご紹介させていただくケースもあります。私自身も研鑽する中で、もっとその分野に択一した先生と一緒に治療をしています。

B:その先生はどういったところから選ばれているんですか?

山:私は、まず自分以上に施述回数や経験値が上の先生を選んでいます。あとうちのクリニックが一番大事にしていることは、技工士さんも業者さんも皆さん共通で、ディスカッション量です。知識をくれたり、施述をするだけでなく、術前術後の話がきっちり噛み合ってできるかどうかに重点を置いています。なのでどれだけ安くても、この条件に合わない場合はお断りしています。



B:治療には保険が適用される治療と自費治療があるんですけど、料金はどのように決められているんですか?そもそも治療費はどの歯科院も統一なんでしょうか?


山:保険での治療費はどこの歯科医院も同じですね。例えば東京の渋谷で開業しても、岡山で開業しても、テナント料が高くても安くても、保険を適用する費用は一律共通なんです。ただ、自費にあたる診療になると、ある程度の相場はありますが、各病院での差は多少あるかもしれません。

B:そうなんですね!それだと東京で開業されている方なんかはリスクが高く感じますね。

山:そうですね。なので保険適用の治療について、国の方針として「病気にならない身体づくり」という流れで、予防に関して推進しています。いわゆる大きな病気になってから病院にいくのではなく、定期検診を行い、早期発見、早期治療を行うということですね。



B:ちなみに先ほど出た、障がいのある方の安定雇用のきっかけとなる環境をつくる、という部分で、山﨑先生は歯科医師とは別に、社会貢献活動として、障がいのある方の安定雇用の訓練と製品の品質向上に取り組まれているとのことなんですが、具体的にはどのようなことをされているんでしょうか?


山:製品の品質向上の面からいうと、日本は他の国に比べると福祉制度がまだまだ遅れているんです。この福祉制度でいうと、スウェーデンが制度の面で、非常に整っていることをよく耳にします。そんな中で、私が大学生のとき障がい者治療を専門にした学科の先生の講義で聞いたある事例なんですが、障がいのある子どもたちからなる楽団があって、スウェーデンの楽団は上手くても、下手でも福祉制度がしっかりしていて予算がある分、楽団としてのクオリティーが下がってしまう。しかし日本の楽団は逆で、自分たちでお金を稼がないといけないという習慣や制度、感覚があるので、練習をどんどんして、クオリティーを上げていくんですね。もちろん福祉制度がより充実していってほしいのですが、こういった一面があるということも講義で学んだんです。それから社会人になり、あるきっかけでお米の品質向上を考え、お米を通じて様々なことを行うきっかけになっています。

B:なぜお米を選んだんでしょうか?

山:まずは「お口を通して元気にする」ということで、当院では、米飯の食べものを推進しようという考えもありましたし、何より日本人にとってはお米は主食であり、体にとっても必要なものでもあることから、お米を選びました。

ちなみに、岡山はお米の発祥にゆかり深いとも言われていて、実は新潟のコシヒカリの原点は岡山の朝日米と言われているんですよね。であれば本来岡山はお米大国であるはずなのですが、果物が全国的にもフォーカスされていて、若い世代の方はおそらく知らない方が大半なんではないでしょうか。そんな中、様々な方からお話をいただいて、就路支援、いわゆる職業訓練のようなものなんですが、これをお米を通じて行うことになりました。お米は決められた工程作業がベースなので、野菜や果物とは違い、大きく品質を落とすというリスクも少ないですし、さらにはお米は主食である以上、全く売れなくなるということもないですからね。



B:お口を通して岡山の街を元気にということから、お米の品質向上なども視野に入れ、多角的に取り組まれているウェルカムデンタルクリニックさんなんですが、口に入るものの品質に対して非常に意識が高く、実際の治療現場で活用する器具にも非常に気をつけられているのですが、その中でも特に『滅菌システム』を導入されているんですが、これはどういったものなんでしょうか?


山:私が開業するときに、ほとんどの歯科院がタービン(歯を削るための器具)を滅菌していないという記事が読売新聞(2014年6月12日)に掲載されたんですね。ちなみに当時、特定の県の歯科医院への調査を行ったところ、滅菌を行う歯科医院は、34%しかないと掲載されていました。もちろんしっかり消毒は行ってはいるんですが、器具の目に見えない細部には、施述の際の血液や、様々な菌が残ってしまうことがあるらしいです。この菌を無くすのが滅菌システムです。正直すごく高価な機械なのですが、当院では原点である「for you」に立ち返り、さらに最も厳しいとされる、ヨーロッパ基準の滅菌器クラス Bという機械を使用しています。この機械で治療器具を滅菌することで、もちろん患者さんもそうなんですが、院内感染の防止も考えて、治療の提案を心掛けています。

B:なるべくそういったリスクを軽減するためにも大事な取り組みですよね。

山:当院では、患者さんとして来院された方がスタッフになるということが実はあるんですね。でも私自身はそれを全然マイナスには捉えてはいないんです。なぜかというと、患者さん目線、スタッフ目線、どちら側から見ても全くやましい部分がないよう、院内を徹底しているからなんですね。やっぱり何かを指摘される部分があると、それがストレスになってしまいますし、お互いがストレスを感じる部分は一致すると思うんです。例えば汚いとか、治療をしたいのにできないなど。でも体は1つなので、1人で全部をするには限界がありますよね。だから先ほど話したことに繋がるんですが、各分野の先生からご意見をいただいたり、ご紹介することが、お互いのストレスの払拭にも繋がる1つの手段、方法と考えています。

B:ストレスが少しでも無くなっていくことで、お客さんからの信頼や価値はあがっていくと思うし、より良い治療を行うために、各分野の先生も紹介してくれるということは、来院するきっかけの1つにもなりますよね。

山:そうですね。うちのクリニックの場合は、紹介するだけでなく、私自身も研鑽する中で、各分野の先生からご意見をいただくことで、私以上に知識や経験が豊富な先生がいる方が、私自身も患者さんもお互いうれしいですよね。僕も開業して、今だからこういったことが言えるんですけど、少し前まではこの感覚はなかったです。でもよくよく考えれば、こういった考えで取り組んでいくことで、三方良しの関係ができ、結果みんな幸せな方向に導けると思ったんです。

B:僕も30代からそういった感覚になってきましたね。20代の頃はなかなかこういった感覚は持てないと思うんですけど、いい意味で30代になると自分を客観視できるのかな。やっぱり事業がうまくいっているところ程、こういった三方良しの考え方が根付いているように感じますね。



B:こういった素晴らしい滅菌システムなんですけど、やはりコスト面から見てなかなか導入が難しいことはわかったんですが、業界から見て、このシステムは現在どのように捉えられているのでしょうか?

山:そうですね。すごく難しい話になるんですが、この滅菌システムをいれることで、例えば治療費をアップしたり、保険で何かカバーしてもらえることはないんですね。つまり機械が利益を生むことができない分、我々はこういった機会で発信をさせてもらっているんですけど、取り組みを発信しない医院となると、やっぱり難しい部分が多いのが現状ですね。

なので読売新聞に掲載されていたように、この滅菌システムを行う歯科医院が当時34%という決して高くない数値が出ているのかもしれないですね。皆さんがやりたいかどうかで言うと「あったらいいな」と思われている医院はたくさんあると思います。ただ、東京ではこういった記事が掲載されたことで、現地の同業の先輩から聞いた話なんですが、患者さんから、滅菌システムが導入されていることを確認されることもあるそうです。

B:でもこういった取り組みをしっかりされていることが、差別化にもなるし、お客さんが歯科医院を選ぶ1つの基準にもなってきますね。

山:こういった見えない部分をしっかりすることが今後大事になってくると感じています。

B:でも僕自身この滅菌システムは知らなかったです。

山:それは私たちの課題でもあって、本来もっと伝えにいかないといけない部分なんです。

B:当時34%が導入していると掲載されていたみたいなんですけど、実際に導入を行っている医院が、この滅菌システム導入の推進をしようという取り組みはないんでしょうか?

山:それが当時の読売新聞の記事だったんですね。なので実際にその記事が掲載されてから導入を行った歯科院は増えているそうです。

B:やはりこの滅菌システムは導入したほうがいいんですか?

山:私個人の考えではありますが、導入したほうがいいと考えています。当院がこの滅菌システムを導入したことも、今まで話してきたことも、すべて当院のコンセプト「岡山の人にfor youを」に繋がることなので、今後もお口を通して岡山の人、街を元気にできるよう日々取り組んでいきたいです。



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✳︎Today’s Guest

山﨑 由衛 YOSHIE YAMASAKI

Welcome DENTAL CLINIC院長

平成25年 岡山大学大学院医師薬学総合研究科 卒業

平成27年4月より Welcome Dental Clinic 開業

口からから岡山の街を元気にするために、

『岡山の人に For you を』コンセプトに

歯科医療はもちろんのこと障害児職業支援など幅広い歯科医療を提案している。

http://www.welcome-d.com/


✳︎Interviewer

BAZ-K

THE MANSIONオーナー

岡山のセレクトアパレルショップ「THE MANSION」オーナー。

現在はセレクトにとどまらず、オリジナルブランド(W/BLUE)の展開の他、

アーティスト活動、イベントプロデュース、BARの運営など、

多岐に渡り活動を行っている。

http://shop.themansion-web.com/

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